井の外の蛙

アメリカ在住15年エンジニアから見た日本

2024-01-01から1年間の記事一覧

英語の話(再び)

日本人が英語が苦手な理由としてはいろいろな説がありますが、根本的には必要ないから、ではないでしょうか。たいていの分野の教科書は日本語に翻訳されていますし、日本市場は十分大きいので積極的に海外進出する理由もありません。 ヨーロッパの小国などだ…

夫婦別姓の話

経団連が選択的夫婦別姓の導入を提言しているのに、自民党の一部議員が慎重なせいでなかなか話が進まないそうで。 老害もここに極まれり、といったところでしょう。「家族の一体感」などそれこそ家族内で考えればいい話だし、そもそも別姓を強制するわけでは…

政治資金の話

改正政治資金規正法がやっと成立したと思ったら、もう国会閉会。ほかにもっと議論すべきことがあるはずなのに、こんな些末な話を引きずる野党の罪は深いです。 もっとも、野党はこれが選挙の争点になるから取り上げているわけで、要は国民がこのくらいのレベ…

「平等な競争環境」の話

さる皇族の一員が大学進学を控え、「平等な競争環境で大学入試に挑むべき」という話になっているそうで、背景を無視して一つの評価軸で比べるのが「平等」だと思っている日本人らしい意見だと思います。 今の入試は平等な競争環境だというのでしょうか? 金…

育成就労の話

技能実習制度が育成就労制度に改められるそうです。今までの人権を無視したような点が改善されるのはよいと思いますが、よくわからないのは未だに「教えてあげる」という上から目線であることです。 実態として単純労働者の補填に使われているだけということ…

大学授業料の話

国立大学が授業料値上げを検討しています。運営費交付金が削減される一方で各種経費が増え、財政的に厳しいためだそうです。 アメリカの大学が非常に高いのは有名な話で、地元の州立大学に行く場合でも日本の私立程度、私立大学となるとさらに2~3倍かかりま…

現金志向の話

まもなく日本で新札が発行されますが、自販機等のアップデートに費用がかかるなど文句が出ているそうです。世界的にも珍しいほど現金志向が強い国民性とはいえ、確かに今まで通り20年おきに新札に切り替える理由がわかりません。紙幣に国王の肖像を入れるこ…

少子化の話

日本の合計特殊出生率が1.20と過去最低を記録したそうで、少子高齢化が予想以上のペースで進んでいることがはっきりしてきました。 「日本人が消える」という民族の生存的な問題はさておき、少子高齢化の実質的な問題は労働力不足です。労働力が不足すると生…

日本の会社?の話

こういう話を聞くと日本で働く気をなくしますね。 fujii-yuji.net 幸い私は日本の会社の人と直接やりとりすることはほとんどないのですが、たまにどうしてもメールのやりとりをせざるを得ないことがあると「いつもお世話になっております」から始まって面倒…

キャリアパスの話

日本企業では総合職採用が一般的なせいか、入社してしばらくは実務、その後は管理職に「昇進」するのがデフォルトのキャリアパスになっています。大学院卒のエンジニアだと肩書こそ「**エンジニア」のままでも次第に研究開発の実務から離れ、実質的な業務…

ライドシェアの話

日本でもようやくライドシェア解禁に向けた動きが出てきたと思ったら、案の定全面解禁については結論先送りだそうで。 海外でUberなどを使われたことのある方は、その便利さを実感されたことと思います。私も出張・旅行先だけでなく地元でもよくお世話になっ…

「集団自決」の話

昨日の記事は、成田悠輔氏の「集団自決」発言にも関係しています。成田氏は少子高齢化に伴い日本の社会保障をどう維持していくかという観点で発言していたのに、ニューヨークタイムズの記事をきっかけに論点が高齢者差別にすり替わってしまい、せっかくの問…

低価格志向の話

「お客様は神様」のほかに、日本人がお互いの首を絞めていると感じるのが極端な低価格志向です。少しでも値段が上がると消費者が買わなくなるので、売る方は値上げする勇気がなく、コストを自前で吸収しようとして無理をします。すると結局みんなの購買力が…

教員の話

教員給与改定をNHKが「定額働かせ放題」と報じたのに対して文科省が抗議したとかいう話があるようですが、抗議などしている暇があったら教員の本来の業務(教育)と全く関係のない業務のせいで発生する残業をどうにかするのが先決でしょう。 日本の学校は超…

留学生の話

違うようで似ている気もする、留学生がらみのニュースを2つ取り上げます。 一つ目は、高校駅伝で留学生が走れる区間が制限されるという話、二つ目は就職活動で名前だけで留学生と判断されて落とされたという話です。それぞれそういうことになった理由と、実…

富士山の話

富士山のオーバーツーリズム関係のもう一つのニュースは、富士山がコンビニの後ろに見えるスポットに黒幕が張られたことでしょう。なぜコンビニの後ろに富士山が見えるといいのかわかりませんが、コンビニ利用者には迷惑でしょうし、前の道路を無理に渡る行…

外国人料金の話

山梨県が富士山の入山料を義務化するそうで、やっとかという感じです。オーバーツーリズムに苦しむ全国の観光地に広がるとよいと思います。 欲を言えば徴収する国・県・市町村の住民は無料にすべきでしょう。国であれば外国人料金ということになります。税金…

選択と集中?

博士号取得者増のほか、もう一つ日本の大学政策の失敗を挙げるとすれば研究費の「選択と集中」でしょう。 これは研究の世界に企業論理を持ち込む典型例で、うまくいかないのは当たり前。研究というのは9割方失敗するもので、始めてみなければどうなるかわか…

学歴の話つづき

アメリカでは学歴も大事という話をしましたが、少なくとも理系は大学名に加えて最終学歴、つまり学士・修士・博士のどの学位を持っているかも大事です。 日本企業の場合、学位の種類は仕事の内容とあまり関係なく、初任給も年齢が高い分高いだけ。そのうえ博…

退職代行!?

ゴールデンウィーク明けで退職代行業者が繁盛しているとか。ちょっとここまで日本らしいニュースも少ないですね。 アメリカではレイオフだとその日でクビのこともありますが、自己都合退職の場合は2週間程度前までに会社に通告することになっている雇用契約…

アメリカ軍の話

たまにアメリカに永住している日本人女性に会うと、かなりの確率でアメリカの現役か退役軍人と結婚しています。息子・兄弟が日本の基地にいる・いたという話もしょっちゅう聞きます。それだけアメリカ軍の存在は日本で身近なのです。 現状では実質アメリカの…

カンニングの話

早稲田大学の入試で、スマートグラスを使ったカンニング事件が発覚しました。テクノロジーの進化で今後さらにカンニングの発見が難しくなるのではという話になっているようですが、いっそのことネットで聞いただけで解答できるような試験による選抜はやめた…

学歴とコネの話

アメリカは実力社会、学歴もコネも関係ないと思っている日本人もいるかもしれませんが、現実は全くの正反対です。飛び抜けた才能を持つごく一部の人を除く凡人が使える武器は学歴とコネぐらいしかありません。だからこそアメリカでもみんなアイビーリーグを…

お客様は神様?

最近ようやくカスハラ対策を始めた企業もあるようですが、「お客様は神様」というメンタリティーが日本の生きづらさの大きな原因になっているのではないかと思います。 引退した人たちを除き、お客様の立場だけで日常を過ごせる人はいません。みんな何かしら…

政権交代の話

アメリカは11月に大統領選を控えています。アメリカの場合政権交代は普通のこととはいえ、最近民主党・共和党の政策の隔たりが大きくなってきているし、トランプはかなり予測不能のところがあるので、影響は今までの政権交代よりも大きくなると思います。も…

医療制度の話

たまには日本の方が優れているという話をしましょう。 アメリカでは医療費が高いというのは有名です。医療保険に入っていて普通に健康であればそんなに問題はないのですが、保険料は高いですし、そもそも処置の原価が高いので日本よりは医療費がかかります。…

継続は力なり?

日本では習い事、部活、仕事など長く続けるのがよいとされています。そのせいか嫌でも下手でもいつかは芽が出ると信じてやり続ける人が多いようです。もっとも最近は転職も普通になってきたようなので、そういう意識は薄れているのかもしれませんが。 アメリ…

マイナンバーの話

私はマイナンバー制度が始まる前に日本を出て、その後一度も住民登録をしていないので、マイナンバーも持っていません。ですがアメリカの社会保障番号(ソーシャルセキュリティーナンバー、SSN)は持っています。 コンセプトは似ているのですが、運用の仕方…

入学試験の話

私は学生時代をすべて日本で過ごしましたので、もちろん入学試験をいくつか受験しました。当時はそれが当たり前だと思っていたのですが、アメリカの大学の選抜方法を見ると弊害も目に付いてきます。 アメリカの場合は入試と言えるようなものはなく、共通テス…

終身雇用の害悪

日本の生産性が上がらない大きな理由として、終身雇用を初めとする雇用慣行があります。今はもうないと信じたいですが、昔は「窓際族」と呼ばれる社員がいたそうです。仕事のない社員に給料を払い続けるなど、アメリカではありえません。 何を隠そう私も事業…