井の外の蛙

アメリカ在住15年エンジニアから見た日本

育成就労の話

技能実習制度が育成就労制度に改められるそうです。今までの人権を無視したような点が改善されるのはよいと思いますが、よくわからないのは未だに「教えてあげる」という上から目線であることです。

実態として単純労働者の補填に使われているだけということもありますし、そろそろ日本の技術が優れているという認識も改めるべきです。円安の影響で出稼ぎ先としての魅力もなくなってきているのですから、むしろ「来ていただく」ぐらいの認識でないと労働力の安定供給にはつながらないでしょう。なのに、新たに一定の日本語能力を要求するなど、来るためのハードルを上げてしまっています。

また、足りないのは単純労働者だけではありません。これとは別に「高度人材」という制度がありますが、エグゼクティブ・教授クラスが対象です。私が足りないと思うのは、その間、つまりバリバリ研究開発ができる人材です。特にAIやIT分野で日本の教育が遅れているので、海外からの人材で底上げする必要があります。

しかし、海外の大学院を卒業したばかりの人が日本で就職したいと思った場合、どのくらい受け口があるでしょうか?せいぜい大学や研究所のポスドクぐらいではないでしょうか?日本企業で研究開発のトップになるみたいなことは到底望めません。

アメリカでは移民が大企業のトップになることも珍しくありません。もちろん、ほとんどはアメリカの大学を出ているわけですが、財政危機に陥っている日本の大学がそう簡単に改革できそうもない現状では、まずは即戦力を入れるしかないでしょう。

日本の「移民」政策は来日の目的を果たしたらさっさと帰っていただく、というスタンスで、永住するという本当の意味での移民政策ではありません。日本は移民嫌いと言われても仕方ありませんね。