井の外の蛙

アメリカ在住15年エンジニアから見た日本

大学授業料の話

国立大学が授業料値上げを検討しています。運営費交付金が削減される一方で各種経費が増え、財政的に厳しいためだそうです。

アメリカの大学が非常に高いのは有名な話で、地元の州立大学に行く場合でも日本の私立程度、私立大学となるとさらに2~3倍かかります。ただし、定価を払っている学生はほとんどいません。家庭の収入に応じて支払うべき額が決まっており、それを超える分は大学によっては奨学金で補ってくれますし、最悪でも貸与型の奨学金が借りられます。もっとも、学費による巨額の借金が社会問題化してはいますが。

ヨーロッパの大学はほぼ無料ですが、日本やアメリカと違い誰でも受験できるわけではありません。少なくともフランスやドイツでは早くから大学進学コースと職業訓練コースに分けられるそうです。また、親が相応の税金を払っていることも忘れてはいけません。

アメリカの大学と比べると、日本の国立大学は教育水準からみて安すぎますし、家庭の収入に関わらずほとんどの学生が同じ額を払うというのもおかしな話です。この際思い切って定価をアメリカ並みにして富裕層からは満額払ってもらい、その代わり授業料免除や奨学金の制度を拡充して貧乏な家の子に振り分けるようにすればいかがでしょうか。こうすれば財政の問題が解決するだけでなく、社会的な流動性も高まります。

さらに言えば、高額寄付者の子供を優先的に入学させるのも、日本だと裏口入学と叩かれてしまいますが、その寄付で何人分かの授業料を免除できるのであれば、機会均等の観点からみると決して悪いことではないと思うのです。