井の外の蛙

アメリカ在住15年エンジニアから見た日本

日本の大学

もうだいぶ前ですが、スタンフォードやMITを誘致するという報道を見て私は目を疑いました。日本の大学をどうにかするのが先じゃないかと思うのですが!?

私もたまに学会に参加して日本の大学の先生と話をすることがあります。かつては日本が世界の最先端を走っていた分野ですが、研究費の豊富なアメリカ・ヨーロッパ勢に追い越され、最近はすっかり影が薄くなってしまいました。この分野に限らず日本の大学の研究能力が低下していることはあちこちで言われているので繰り返しませんが、その対策をせず手っ取り早くアメリカの大学を誘致したところで、日本の競争力が高まるはずがありません。

この点アメリカはやり方がうまく、研究環境を整えることで世界中から優秀な人材を集め、「アメリカの成果」として宣伝します。アメリカの大学といっても、研究の主役となる大学院生や教授はほとんど外国人。企業も似たようなもので、面倒な研究開発は外国人エンジニアにまかせ、アメリカ人はマネジメントに徹しておいしいところだけ吸い上げる仕組みです。

アメリカの大学を誘致したところで、それを吸収する人材がいなければ全部アメリカに持っていかれるだけです。まあ、世界の下請けだけをやって生き延びていくという選択をするのなら、それはそれでありだとは思いますが。